【永平寺】心を洗う旅へ。禅の世界と圧巻の美を巡る特別な一日

福井県が誇る名刹、大本山永平寺 は、770年以上の歴史 を持つ曹洞宗の大本山であり、今も多くの修行僧(雲水)が日々厳しい修行に励む、生きた禅の道場です。深山幽谷の地に佇むその境内は、どこか凛とした空気が漂い、訪れる人々に静寂と深い安らぎを与えてくれます。
全国1万5千以上の末寺を束ねる大本山として、この地に足を踏み入れるだけで、心身が清められるような特別な感覚を覚えるでしょう。圧倒的な荘厳さの中、古木に囲まれた道を歩き、繊細な建築美と寺宝をじっくりと堪能する、上質な旅をご案内します。

永平寺_冬

永平寺の歴史と禅の精神に触れる

永平寺は寛元2年(1244年)に道元禅師によって開創されました。道元禅師は坐禅の教えを伝えるため、越前国志比庄に移り、この修行道場を築いたのです。
道元禅師は13歳で出家し、24歳で中国(宋)へ渡り、26歳で正伝の仏法である「坐禅」の教えを受け継ぎました。道元禅師が帰国後に誰にでもできる坐禅の行法を説くために著したとされる「普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)」は、永平寺に伝わる国宝です。
永平寺では、創建当時のまま、食事や就寝といった日々の生活の全てを修行とする厳格な日々が、今も雲水たちによって続けられています。その張り詰めた空気や、修行の様子を垣間見ることができるのも、永平寺の大きな魅力の一つです。

圧巻の伽藍美:回廊で巡る七十余りの殿堂

広大な境内には、70余りもの殿堂楼閣が建ち並び、そのうち19の建物が国の重要文化財に指定されています。中でも、修行に不可欠な7つのお堂は「七堂伽藍」と呼ばれ、回廊と呼ばれる階段と廊下で結ばれています。この回廊を巡りながら参拝するのが、一般的な永平寺の歩き方です。

永平寺 回廊

永平寺のみどころ

  • 傘松閣(さんしょうかく)
    • 2階にある大広間は別名「絵天井の間」と呼ばれ、160畳の広大な空間の天井を埋め尽くす230枚の絵天井は圧巻です。
    • これらの絵は、昭和初期の著名な日本画家144名によって描かれました。
    • 描かれているのは花や鳥がほとんどですが、鯉や唐獅子など、生き物が描かれた特別な絵が5枚だけ存在します。その美しさを堪能しながら、ぜひ5枚の特別な絵を探してみてください。

永平寺 傘松閣

  • 法堂(はっとう)
    • 七堂伽藍の最も高い位置にあり、禅師様が説法を行う道場です。
    • 一般の寺院でいう本堂にあたり、朝のお勤めや各種法要がここで行われます。
    • 380畳敷き あるいは420畳もの広さ を誇る堂内の中央には、本尊として「聖観世音菩薩」が祀られています。
    • 境内の一番高い場所にあるため、四季折々の美しい景色を心静かに眺めることができます。

永平寺 法堂

  • 山門(さんもん)
    • 築約270年で、永平寺に残る最古の建物とされています。
    • 修行僧が正式に入門する際に通る「永平寺の玄関」です。
    • 下層には仏教の守護神である四天王(持国天、多聞天、広目天、増長天)が祀られ、上層には五百羅漢が安置されています。
    • 釘や金具を一切使用しない木組み造りの、精巧な匠の技も光ります。

永平寺 山門

  • 仏殿(ぶつでん)
    • 七堂伽藍の中心に位置し、中国宋時代様式の二重屋根を持つ建築美が際立つ建物です。
    • 須弥壇の中央には曹洞宗の本尊である「釈迦牟尼仏(お釈迦様)」が祀られ、その左右に未来弥勒仏、過去阿弥陀仏の三世如来が祀られています。
  • 承陽殿(じょうようでん)
    • 永平寺を開いた道元禅師の御真廟、いわばお墓にあたる最も神聖な場所です。
    • 道元禅師の御尊像と御霊骨が安置され、雲水たちは道元禅師が今もそこに生きてお仕えしていると考えています。
    • 日本曹洞宗の発祥の根源ともいえる聖地であり、内部の撮影はできませんが、張り詰めた神聖な空気を肌で感じることができます。
  • 僧堂(そうどう)
    • 修行の根本となる堂であり、「雲堂」「坐禅堂」とも呼ばれます。
    • 雲水はここで坐禅、食事、就寝のすべてを行います。
    • 浴室、東司(お手洗い)と並んで「三黙道場」の一つとされ、私語は厳禁の神聖な場所です。
  • 大庫院(だいくいん)
    • 修行僧や参籠者の食事を作る台所「典座寮」がある、永平寺の運営を支える要の建物です。
    • 道元禅師は食事の作法を尊んでおり、その精神に準じて精進料理が作られています。
    • 正面の玄関には、足の早い守護神「韋駄尊天(いだそんてん)」が祀られています。
    • 庫院前には、永平寺の名物として知られる特大の「擂粉木(すりこぎ)」が掛けられています。

境内の景観と静謐(せいひつ)な時間

深山幽谷の地にある永平寺は、建物だけでなく、境内の自然の美しさも格別です。

永平寺 紅葉

  • 老杉と苔の景観
    • 境内は樹齢600年以上の杉の古木に囲まれています。
    • 参道の脇を覆う美しい苔や、貫禄ある老杉の木立も永平寺を象徴する見どころです。
  • 四季の彩り
    • 季節ごとに訪れたい理由があるほど、四季折々の景観の美しさが楽しめます。
    • 重厚な諸堂に鮮やかな紅葉が映える秋(特に11月)は大変賑わいます。
    • 雪に包まれた冬の永平寺は、凛と研ぎ澄まされた空気がより荘厳な世界へと誘います。

旅の締めくくりは門前町グルメ

永平寺の参拝を満喫したあとは、賑わいのある門前町散策で旅を締めくくりましょう。永平寺参道には食事処やお土産物店が立ち並び、参拝後の心弾むひとときを提供してくれます。

  • 永平寺ならではの味覚
    • ごま豆腐や、地元の永平寺そばは、ここにきたらぜひ味わいたいグルメです。
    • 縁起物の「ご利益団子」も有名です。
  • 新名物のお土産
    • 最近話題の新名物「永平寺だるまプリン」は、だるまの器が可愛らしく、なめらかな口どけが評判です。縁起のいいお土産としてもぴったりです。

歴史と芸術、そして深い精神性が共存する永平寺。日々の喧騒を忘れ、圧倒的な静けさと美の中で心洗う、忘れられない一日となるでしょう。

永平寺


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