富士登山のルート 吉田ルート

富士登山の中でも特に人気が高い吉田ルートは、江戸時代から続く歴史ある登山道です。標高3,776mの富士山には、大きく分けて4つの主要ルートがありますが、その中でも吉田ルートは首都圏からのアクセスが良く、山小屋も多く、初心者でも比較的登りやすいことから、多くの登山者で賑わっています。

富士登山のルート 吉田ルート

吉田ルートの登山道は、五合目から六合目までは比較的平坦で、樹林帯の中を歩きます。 六合目からは本格的な登山となり、日陰がないため熱中症に注意が必要です。 七合目まではジグザグの広い道が続き、その後は急な岩場の登山道となります。 七合目には救護所と7軒の山小屋があり、八合目には救護所と5軒の山小屋があります。 山小屋では宿泊のほか、休憩やトイレの利用も可能です。 吉田ルートは他のルートよりもサポート体制が充実しているため、初めての富士山登山にもおすすめです。

吉田ルート 登山イメージ

吉田ルート 登山イメージ

八合目からは富士山頂上浅間大社奥宮の境内地となり、最後の山小屋「御来光館」を過ぎると、九合目の鳥居が見えてきます。 九合五勺の迎久須志神社を経て、最後の鳥居をくぐると、山頂の久須志神社前に到着します。 久須志神社から7〜8分ほど歩いたところにある成就岳も景色が良いポイントです。

山頂からは、雄大な雲海や、太陽と反対側の山麓に富士山のシルエットが映し出される影富士を望むことができます。 また、活火山である富士山の山頂部には、大内院と呼ばれる火口跡があり、荒涼としつつスケールの大きな光景が広がっています。

吉田ルートの下山道は、登りとは異なるブルドーザーが通行するジグザグの道で、傾斜は緩やかですが、砂埃が舞いやすい道です。 八合目までは須走ルートの下山道と同じ道で、八合目の山小屋「江戸屋」の前で須走ルートの下山道と分かれます。 下山時に道間違いを起こしやすいポイントなので、標識をよく確認することが重要です。 八合目下江戸屋から下の吉田ルート下山道には山小屋がないため、トイレはできるだけ山頂で済ませ、下山に必要な水分の確保もしておきましょう。

吉田ルートの登山シーズンは例年7月1日〜9月10日です。 2024年から、吉田ルートは事前の通行予約と通行料2,000円の事前決済が必要になりました。 定員は毎日4,000人ですが、予約していない人のために当日受付分の枠も1,000人以上確保されています。 山小屋の宿泊予約をしていれば、現地で通行料2,000円を支払うことで通行予約なしでも登山可能です。

富士山頂の酸素濃度は平地の約3分の2まで低下するため、高山病を発症する登山者も少なくありません。 五合目に到着した時点で標高は2,305mもあるので、いきなり登り始めるのではなく、まずはここで1時間程度の休憩をとって高所に体を慣らすこと(高所順応)がおすすめです。 また、水分不足も高山病発症の要因となるため、こまめな水分補給を心がけましょう。

吉田ルート 登山イメージ

吉田ルート 登山イメージ

吉田ルートへのアクセスは、公共交通機関利用の場合、新宿・横浜方面からは、吉田口五合目への直行バスが運行されています。 関東・東海・関西方面から、富士急行線・富士山駅か河口湖駅へ高速バスが運行しており、そこから登山バスで吉田口五合目を目指します。 車利用の場合は、吉田口五合目へ向かう富士スバルラインは、開山期間中のほとんどがマイカー規制となります。 マイカーで訪れる場合は富士山パーキング(山梨県⽴富士北麓駐車場)へ駐車して、シャトルバスに乗り換えます。

富士登山には、登山靴、服装、ザック(バックパック)、水筒、行動食、GPSアプリ・地図、ヘッドライト、着替えなど、適切な装備が必要です。 また、高山病に注意し、こまめな水分補給を心がけましょう。 下山後は温泉で汗を流してさっぱりと帰路に就くのもおすすめです。 吉田ルート山麓の河口湖周辺には日帰り温泉施設が充実しているので、下山後に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。ジャムジャムツアーは一部プランを除いて温泉入浴付プランです。

登山行程解説

五合目

吉田ルートのスタート地点は、標高約2,300mの富士スバルライン五合目です。 ここは4つの登山道の中で2番目に標高が高く、比較的容易に登頂できるため、富士山登頂を目指す人の約6割がこのルートを利用します。 大型施設が立ち並び、レストランやお土産物店、郵便局や登山道具の販売・レンタル店、着替え施設、コインロッカーなどがあります。 登山目的ではない一般観光客も多く訪れる観光地としても有名です。 2024年からは、事前の通行予約と通行料2,000円の事前決済が必要になりました。 定員は毎日4,000人で、予約していない人のために当日受付分の枠も1,000人以上確保されています。 山小屋の宿泊予約をしていれば、現地で通行料2,000円を支払うことで通行予約なしでも登山可能です。また、高山病予防のため、到着後1時間程度の高所順応と、こまめな水分補給が推奨されています。

登山行程 五合目イメージ

吉田ルート 登山イメージ

六合目

五合目から六合目までは、比較的平坦な広い道が続きます。 泉ヶ滝で吉田口五合目へ至る道と分岐し、六合目はやや急になり、樹林帯の中を歩きます。 シェルターを抜けると富士山安全指導センターの建物が見えてきます。 六合目には、吉田口登山道と合流します。 六合目には、富士山安全指導センターと公衆トイレ(仮設)があります。 いずれも登山道開設期間のみの設置です。 標高約2,400m地点には、山小屋「宝永山荘」があります。

七合目

六合目からは登山装備が必要となり、日陰がないため熱中症に注意が必要です。 七合目の最初の山小屋までしばらくジグザグの広い道が続き、その後「花小屋」からは急な岩場となります。 「鎌岩館」下に「七合目救護所」があり、登山シーズン中の一部期間開設され、医師が常駐して24時間体制で診療にあたっています。 七合目の山小屋は「東洋館」までで、合計7軒あります。 山小屋のトイレは24時間利用可能です。 標高約2,700m地点には、山小屋「日の出館」があります。 標高約3,100m地点には、山小屋「トモエ館」があります。

八合目

七合目から先はさらに岩場が急になり、混雑時には山頂での御来光を目指す夜間登山者による渋滞が始まります。 八合目太子館に八合目救護所が併設されています。 この付近で標高3,000mを超え、高山病にかかる人が多くなるため、ゆっくりと登り、こまめな水分補給と深呼吸を忘れずに行いましょう。 本八合目で須走ルートと合流し、八合目から本八合目までの間で、富士山に次いで標高の高い北岳3,193mよりも高くなります。 八合目には5軒の山小屋があり、トイレは24時間利用可能です。 標高約3,360m地点には、山小屋「太子館」があります。 標高約3,400m地点には、山小屋「蓬莱館」があります。

山頂

本八合目以上は富士山頂上浅間大社奥宮の境内地です。 最後の山小屋「御来光館」を過ぎると、次は九合目の鳥居が見えてきます。 九合五勺の迎久須志神社を経て、最後の鳥居をくぐると、山頂の久須志神社前に到着します。 山頂には「御来光館」があり、トイレは24時間利用可能です。 山頂には、日本最高峰である剣ヶ峰(3,776m)や、浅間大社奥宮、久須志神社、富士山頂郵便局があります。 山頂からのご来光や雲海、影富士は、富士山登山ならではの絶景です。

登山行程 山頂イメージ

登山行程 山頂イメージ

下山道

吉田ルートの下山道は、登りとは異なるブルドーザーが通行するジグザグの道で、傾斜は緩やかですが、砂埃が舞いやすい道です。 八合目までは須走ルートの下山道と同じ道で、八合目の山小屋「下江戸屋(江戸屋)」の前で須走ルートの下山道と分かれます。 間違えて須走ルートを下ると吉田ルートへは戻れません。また、須走口五合目から富士スバルライン五合目までの直通バスはないので注意が必要です。 八合目下江戸屋から下の吉田ルート下山道には山小屋がありません。 また、公衆トイレは七合目までありません。 トイレはできるだけ山頂で済ませ、下山に必要な水分の確保もしておきましょう。 六合目には、吉田口登山道との分岐点があります。 富士スバルライン五合目方面へ進みましょう。 七合目から下ると、六合目で登山道と合流します。 六合目は吉田口登山道との分岐点にもなっているため、「富士スバルライン五合目」方面へ進みます。

注意点

  • ・2024年から、吉田ルートは事前の通行予約と通行料の事前決済が必要になりました。
  • ・トイレは有料ですので小銭をご用意ください。また山頂山頂のトイレは大変混雑するため、時間に余裕を持って利用しましょう。
  • ・八合目下江戸屋から下の吉田ルート下山道には山小屋やトイレがないので、注意が必要です。
  • ・下山道は分岐に注意が必要です。また砂埃が舞いやすいので、マスクやサングラスがあると便利です。
  • ・高山病予防のため、五合目到着後は1時間程度の高所順応を行い、こまめな水分補給を心がけましょう。人気ルートのため週末やお盆休みは大混雑で渋滞も多く発生します。

吉田ルートは、山小屋や救護所が充実しており、初心者でも比較的登りやすいルートです。しかし、高山病のリスクや、混雑による渋滞、天候の急変など、富士山登山には危険が伴うことを理解しておく必要があります。 十分な準備と計画を立て、安全に登山を楽しみましょう。